人事はヒトゴトか?

組織論、人材開発、人工知能に関するトピックについて書いていく。学術的観点と人事の実務の両方の視点を大切に。

日本は定型業務が多いのか?

"ロボットによる代替可能性は,一つの大きなインパクトにはなるでしょう。記事では,日本は「主要国で最大となる5割強の業務を自動化できることも明らかになった」とされています。ロボットに代替されやすい定型的な業務がそれだけ多いということでしょう" (大内伸哉ブログ「アモーレと労働法」より)

 

このブログの元ネタは日経の記事だそうですが、私はその記事は読んでいません。「日本企業の業務の5割が自動化可能」というのはなかなか大きなインパクトがあります。この見出しだけ読むと、「日本企業の業務の自動化は遅れている」と感じますが、僕は別の一面もあると思います。それは、「日本企業のノウハウは自動化できる準備が整っている」ということです。

 

アメリカは属人についていてノウハウが共有されていない仕事が多く、そうした仕事が得てして「独創的」とか「創造的」とか言われていることがあります。しかし、実は同じような仕事が、日本では職場でマニュアルなどで共有化され、誰でもできるようになっていることが往々にしてあります。つまり、日本の組織は暗黙知を形式知に変えて定着化させることに長けているという特長があるのです。形式知化されているものは、そうでないものに比べてAIへの代替性が高いため、冒頭のような結果が出たのではないかと推測できます。

 

「日本はAI化の影響を最も受けそうだ」と見ることも可能ですが、「日本はAIを利用する準備が最も整っている」という見方も可能だと思います。