人事はヒトゴトか?

組織論、人材開発、人工知能に関するトピックについて書いていく。学術的観点と人事の実務の両方の視点を大切に。

長時間労働撲滅キャンペーンを憂う

こんな程度の認識の人間が長時間労働撲滅キャンペーンの旗振りをしてるのかと悲しくなるコメント。小室淑恵氏のFacebookより。

 

>これは、ほんとーーーに凄い数字!厚生労働省が、100億円の経済効果を出したのと同じ。今まで政府は金融バズーカのような表面的な対策ばかりしてきたけれど、個人の消費は伸びなかった。でも、本来払われるはずだった100億円が(実際はまだ何倍もあるはず)が個人の所得にまわり、使える時間が増えることのほうが、個人消費には、ずっと大きな効果をもたらす。

去年度の「サービス残業代」約100億円、1348社に指導(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

 

「支払われた未払い残業代100億円=経済効果」という認識にも疑問があるが、何より呆れてしまうのは、このニュースを見て喜んでしまう感性である。100億円の未払い残業代が支払われたことで誰が喜んでいるのかをよく考えてほしい。対象となった企業はブランド価値が下がり、未払いが発生した現場の管理者は残業代の算定・再発防止策の策定に追われ、残業代をもらえた社員だって自分の会社や職場がダメージを受けている状況では喜べないだろう。誰も幸せになっていないニュースをなぜ喜ぶのか。結局は、彼ら彼女らの長時間労働撲滅運動は「ためにする運動」にすぎないということだ。

 

この時世、コンプライアンスは企業の生き残りのための必須条件であることは大半の企業は分かっていて、建前としても本音としても「サービス残業・長時間労働はさせたくない」と考えている。

 

では、なぜこうした働き方がなくならないのか?

 

その答えは三つに収斂する。

①労働時間と業績の相関が高い産業が日本の屋台骨を担っていること

②日本人が完璧なサービスが提供されることを当然と思っていること

③需要量の変動に対する供給量の調整が、雇用ではなく残業によって行われていること

 

続きは長くなるのでまた今度。では。